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2023年12月28日
パワハラについて、あなたはどれだけ知っていますか?
2020年には「パワハラ防止法」が施行され、法律で明確にパワハラの禁止が定められました。
しかし、中にはそもそもどんな行為をパワハラというのかわからないという人もいるのではないでしょうか?
この記事では、法的にパワハラと認められるための要件と、実際にあったパワハラの具体例、対処法を紹介します。
「自分がパワハラを受けているかもしれない」と思う人は、判断の参考にしてみてください。
過労死やうつ病の原因ともなるパワハラ。
労働局の労働相談コーナーに寄せられたパワハラ相談件数は、令和元年度には8万件を超えています。
日本労働組合総連合会が行った調査では、職場でパワハラを受けたことのある人の割合は全体の27.6%と、およそ10人に3人がパワハラの被害を経験しているという結果も。
パワハラはもはやどこの職場でも起こりうることといっても過言ではありません。
パワハラ防止法では、事業主に対し職場でパワハラが起きないよう必要な対策をする義務が課されています。
パワハラ防止法自体に罰則はありませんが、パワハラの事実が認められれば会社は厚生労働省による勧告の対象になります。
もし厚生労働省の勧告や指導に従わないときは社名を公表されます。
職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為(厚生労働省)」と定義されています。
言いかえると、パワーハラスメントと認められるためには、以下の3つの要件をすべて満たしていなくてはいけません。
しかし、これだけではよくわかりませんね。
次の項で、内容を詳しく説明します。
職場において行われるものであって、以下の3つの要件をすべて満たしたものをパワハラと認定します。
優越的な関係とは以下のようなものを言います。
そのほか、立場は低くとも特殊な技能や高い経験値を持つ社員が仕事に協力しないことも、上司や先輩に対するパワハラとみなされます。
また、個人の間だけでなく、集団から個人に対する行為も含まれます。
業務上必要な範囲とは、行為の「必要性」「相当性(妥当であるかどうか)」という面から判断します。
たとえば、部下のミスが発覚して上司が部下を激しく叱った場合、叱責が必要なものであったとしても、ささいなミスであったり、上司の伝達が不十分だったりするケースでは、妥当なものとは言えません。
たとえ部下が普段から素行に問題のある社員であったとしても、「必要性」や「相当性」のない厳しい叱責はパワハラと認定されます。
労働者の就業環境を害するパワハラには、はっきりとした線引きはありません。
叱責などにより、就業環境が不快なものとなってしまった場合などがあてはまりますが、業種・業態により、パワハラとなるかどうかの判断は分かれます。
また、ここでいう労働者とは雇用形態に関係なくパート・アルバイトなどの非正規社員など、事業主が雇用するすべての労働者を指します。
なお、職場におけるパワハラの要件を記載していますが、職場とは単にオフィスだけをさすものではありません。
客先や出張先、場合によっては会社の宴会の席などで行われたことも、パワハラと認定されることがあります。
パワハラには6つの類型があります。
もし、今あなたが受けている行為がパワハラかもしれないと思うなら、該当するかどうかこのパートで確認してみましょう。
概要と具体例のほか、実際に裁判で違法とされた行為も挙げています。
具体例:
・蹴る
・叩く
・殴打する
・物を投げつける
・肩をつかんでゆする
・ごみ箱を蹴るなどの威圧的な行為に及ぶ
具体例:
・指導範囲を超え、厳しく執拗に叱責する
・他の社員の前で人格を否定する
・職場でさらし者のように扱う
・「クビにする」などと言い、雇用の不安を与える
・性的指向・性自認に関して侮辱的な発言をする
実際に裁判で違法性が認められた例:
・休暇中に出勤を命令し、それを拒むと辞職を強いるような発言をする
・上司を中傷するビラを配布する
・他の社員の前で横領行為の犯人扱いをする
具体例:
・集団で無視をして孤立させる
・長期間にわたり別室に隔離する
・懇親会・送別会に出席させないなど仲間はずれにする
(※新入社員を教育するため、別室で一定の期間研修を受けさせることは該当しません。)
実際に裁判で違法性が認められた例:
・産休をとったことなどを理由として仕事を外し別室に隔離、さらに数年にわたり自宅研修をさせる
・社長の意に沿わない社員に対して、退職に追い込むために配転命令を発令し、他の社員を扇動して退職勧奨する
具体例:
・膨大な量の業務を押し付ける
・遂行不可能なノルマを強制する
・業務上明らかに不要なことを課し、仕事の妨害をする
・データが揃っていないにもかかわらず資料の作成を強要する
実際に裁判で違法性が認められた例:
・1年以上にわたり、他の社員より高いノルマを課し、達成できないことに対して人前で叱責する
・運転手に対して、接触事故を理由に1ヶ月間炎天下での除草作業を含む下車勤務命令を出す
・販売目標未達成の罰として、研修会でコスチュームの着用を強要する
具体例:
・辞めさせることを目的に管理職に誰でも遂行可能な単純業務をさせる
・嫌がらせのためにわざと仕事を与えない
実際に裁判で違法性が認められた例:
・管理職(課長)を退職させるため、受付窓口業務に配置転換
・内部通報した社員を新入職員と同じ職務に配置転換
具体例:
・個人のスマートフォンの画像を勝手に見る
・休暇中の私用や私的な内容を聞き出そうとする
・異性との交際や結婚などのプライベートな事柄について執拗に触れる
実際に裁判で違法性が認められた例:
・特定の政党の党員であることを理由とし、職場内外で継続的に監視したり、他の社員に接触しないよう働きかけたり、ロッカーなどを無断で開けて私物の写真撮影をしたりする
・リフレッシュ休暇取得後間もない時期に年次有給休暇取得の申請をしたことに対して、「そんなに休むと、上は必要ない人間だと言う」などの発言をし、休暇申請を取下げさせる
もしあなたが受けている行為がパワハラだと分かった場合、どう対処したらいいのでしょうか?
対処法はいくつかあります。
まずは、パワハラの被害にあったことを証明する証拠を集めましょう。
その後どんな対処をするにせよ、証拠が必要です。
以下に挙げるものを集めておきます。
重要なのは、自分が受けたパワハラについて日時や時間など詳細な記録を残しておくことです。
<メモしておくこと>
パワハラをする上司とは別の上司に相談するか、または社内の「パワハラ相談窓口」に相談しましょう。
相談窓口がなければ、会社の人事に相談しても良いです。
このとき、パワハラ加害者に相談した事実が知られないよう注意を払う必要があります。
そして念のため、いつ、社内の誰に相談したかも記録しておきましょう。
会社に相談の事実をなかったことにされないためです。
外部の機関への相談も検討してみましょう。
労働局の「総合労働相談コーナー」や、法務省が設置する「みんなの人権110番」などの窓口があります。
あくまで相談窓口ですから、直ちに会社へ指導が入るなど、問題が解決されるわけではありませんが、過去の裁判例の紹介や解決法のアドバイスをくれるなど、解決の糸口を示してくれます。
どう対処したら良いか一人ではわからないという人におすすめです。
弁護士への相談は最も有力な手段でしょう。
社内ではどうしても解決できず、取り合ってもらえないときの最終手段と言えます。
程度にもよりますが、パワハラは被害者の心や体を傷つける違法行為。
実際にパワハラがあったと認められれば、訴訟を起こし慰謝料を求めて会社や上司を訴えることもできます。
相談しても取り合ってくれないなど、社内でパワハラが解決できそうになく、かといって費用を払ってまで弁護士に相談したくないという場合、職場から離れるというのもひとつの方法です。
パワハラは加害者に非があるのに、パワハラを受けたほうが転職・退職をするのはおかしいと思うかもしれません。
しかし、パワハラが起きても対応できない、対応する気がない人ばかりの職場なら転職や退職で距離を置く方が得策でしょう。
パワハラは殴る、蹴るなど体を傷つけるものだけでなく、脅迫や執拗な叱責など心を傷つけるものも含みます。
パワハラの苦しみは当人にしかわかりませんし、第三者から見たらささいなことだとしても、パワハラ加害者との関係によっては大きな苦痛に感じることもあるはずです。
もし、少しでも辛いと感じているのなら「このくらい、他の人は我慢しているから」「大したことじゃないから自分さえ耐えていれば良い」と考えず、まずは誰かに相談し対処法を調べてみましょう。
CATEGORY : 働き方
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