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2023年12月28日
自分の残業代を計算したことはありますか?
なんとなく残業をして手当をもらっているものの、残業代がどんな風に計算されているか知らないという人は多いのではないでしょうか。
この記事では、どんなときに残業代が発生するのか、また、残業代の正しい計算方法について解説します。
残業とは、会社が決めた労働時間を超えて働いた時間のこと。
会社が独自に決めた労働時間を「所定労働時間」と言い、もしも1日7時間、週5日働くなら所定労働時間は1日7時間、週35時間です。
法律では、会社が労働者を働かせてよい労働時間の上限を1日8時間、週40時間と定めており、これを「法定労働時間」と呼びます。
「所定労働時間」、「法定労働時間」を超えて働いた分が残業と言われます。
法律上、残業代の支払いが必要となるのは「所定労働時間を超えた残業」ではなく「法定労働時間を超えた残業」のみです。
例えば、所定労働時間が7時間の会社で7時間30分働いたら30分は残業ですが、法定労働時間の8時間は超えていないため、会社が残業代を支払わなくても違法ではありません。
法定労働時間を超えて労働者に残業をさせることは、実は違法です。
もし適法に残業をさせたい場合は「36協定(サブロク協定)」が必要となります。
会社と労働者がこの協定を締結し、労働基準監督署に届出することで初めて、残業が認められるのです。
2019年4月(中小企業は2020年4月)の法改正により残業時間の上限規制が始まりました。
これまでは、36協定があれば会社は労働者に上限なく残業をさせることができましたが、法律が変わったことで、残業の上限時間が原則として月45時間、年360時間までとなりました。
(※臨時的な特別の事情がある場合や、建設事業、自動車運転の業務に従事している労働者については例外)
では、そもそも残業となるのはどんなときなのでしょうか。
以下にいくつか例を挙げます。
会社の始業時間前に行う朝礼・掃除・着替え・準備などの業務は、始業前残業とみなされます。
上司からの指揮命令があり、早出や出勤時刻前に行った業務は残業です。
「いつもより早く来て仕事を終わらせよう」と自主的に行った場合は残業と認められません。
定時後、家に持ち帰って仕事をした場合も残業と認められます。
「明日の朝までに終わらせてこい」など上司の指示があった場合は、指揮命令のもとで働いたことになり、労働時間にカウントされます。
参加を強制された研修は労働時間になります。
逆に、自主的に参加した研修や参加の可否を選べる研修は強制ではないため、労働時間ではありません。
一見業務に分類されそうですが、違います。
接待や会食は具体的な内容や方法について会社や上司の指示・管理がないためです。
もし接待や会食が強制参加だったり、時間のほとんどを交渉・商談に当てたりしていたのなら残業として認められます。
休憩時間と言いつつ、電話や来客対応のため持ち場を離れられない状況であれば、休憩ではなく労働時間とみなされます。
残業代は通常の賃金より、いくらか割増した額で支払われます。
計算式は以下の通りです。
残業代=残業時間数×1時間当たりの賃金(時給)×割増単価
賃金が月給や日給なら、1時間あたりの賃金を算出し、割増単価をかけて残業代を計算します
それでは、1時間あたりの賃金(時給)はどう算出したら良いのでしょうか?
もし、賃金が時給だけなら時給そのままの額ですが、他に手当が支給されているなら手当を含んで計算します。
日給、月給であれば以下のように計算してください。
※計算結果に1円未満の端数が出た場合は50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げて処理します。
(日給の場合)
時給=(1日当たりの){基本給+諸手当}÷1日の所定労働時間
(月給の場合)
時給=(1月あたりの){基本給+諸手当}÷1ヶ月の所定労働時間
※1ヶ月の所定労働時間の求め方
(365日-会社の年間休日数)×1日の所定労働時間÷12ヶ月
うるう年の場合は365日ではなく366日です。
前項で、1時間当たりの賃金の計算には諸手当を含めると言いましたが、全ての手当を含めるわけではありません。
残業単価を求めるときには、以下の手当を計算から除く必要があります。
残業の割増率は、いつ残業をしたかによって違います。
通常残業・・・25%割増
定時後の残業などで、1日8時間の法定労働時間を超えた分
深夜残業・・・50%割増
通常残業のうち、深夜(午後10時~午前5時の間)労働をした分
通常残業の25%割増に深夜労働分の25%割増が加算され、50%割増になります。
休日残業・・・35%割増
法定休日(1週間に1回の休日)に労働した分
法定休日の深夜残業・・・60%割増
法定休日残業の35%割増に深夜労働分の25%割増が加算され、60%割増になります。
※休日には法定休日と所定(法定外)休日の2つがあります。
1週間に1回の休みを法定休日といい、それ以外の会社で決めた休日を所定(法定外)休日と言います。
例えば土日休みの会社であれば日曜日が法定休日、土曜日が所定(法定外)休日です。
固定残業代を支払っていれば、追加の残業代は必要ないと思っている会社は多いですが、そうではありません。
固定残業代を支払う場合には、雇用契約書に「固定残業手当は○○時間分とする」と記載が必要です。
もしその時間を上回る残業が発生したら、会社は残業代を追加で支払わなくてはいけません。
労働基準法には「管理監督者は労働時間、休憩および休日に関する規定の適用を受けない」という規定があります。
これを根拠に、店長や課長などの管理職に残業手当を支払わないケースが多くあります。
しかし、管理職=管理監督者ではありません。
管理監督者となるにはいくつか要件があり、全てを満たしていなければ管理監督者とはみなされないので、残業代を支払わなくてはいけません。
フレックスタイム制では、事前に決められた「清算期間」という期間単位で労働時間を計算しています。
もしこの清算期間の労働時間を超えて働いていれば、残業として残業代を支払う必要があります。
年俸制とはあくまで賃金の決め方のひとつです。
年俸制=残業代が不要な制度ではありません。
残業や休日出勤をした分については年俸とは別に計算し、支給が必要です。
裁量労働制(みなし労働時間制)とは実際に働いた時間に関係なく、決められた時間を働いたと「みなす」制度です。
「みなし時間」が1日8時間、週40時間以内に収まっていれば、残業代の支払いは必要ありません。
しかし、裁量労働時間制を導入するためには厳格な要件や手続きがあり、適用できる業種が限られています。
会社が「裁量労働制だから」と宣言するだけでなく、正しく導入・運用されていなければ効力はありません。
試用期間中であっても、労働者であることに変わりありません。
法定労働時間を超えて働いていれば残業代を支払う必要があります。
タイムカードがないため、自分のメモで記録を残していますが、残業代は請求できますか?
残業代請求には、残業の事実を証明する証拠が必要です。
客観性の高い証拠が望ましいですが、手帳やノートに記録した自筆のメモでも証拠として認められます。
以下のような記録も残業の証拠になります。
就業規則や雇用契約書に「残業代は支払わない」と書いてあります。残業代は支払ってもらえないのでしょうか。
法定労働時間を超えて働いたら、残業代は支払わなくてはいけません。
これは法律で決まっていることです。
会社が就業規則や雇用契約書でどう定めていても法律の方が優先されます。
未払い残業代を請求したら解雇すると言われました。
残業代請求の報復としての解雇は無効です。
不当解雇として解雇の撤回を訴えることができます。
欠勤した分を残業代と相殺されました。
同じ週に、8時間の残業と1日(8時間)の欠勤があった場合でも、欠勤と残業を相殺してはいけません。
残業は割増で支払わなければいけない賃金だからです。
賃金は以下のように計算します。
例)時給1,000円の場合(残業単価:1,000×1.25=1,250円)
誤:残業8時間−欠勤8時間=0(残業代の支払いなし)
正:残業8時間×1,250円=10,000円
欠勤8時間×1,000円の控除=△8,000円
10,000円−8,000円=差額2,000円の支払いが必要。
自主的な残業だから残業代は支払わないと言われました。
本来、残業は上司からの指示や会社の指揮命令のもとで行うものをいい、労働者の自主的な労働は残業に当たりません。
しかし、会社や上司が明確に残業を命令していなくても、勤務時間内に終わらない量の業務を与えた等、暗に残業を指示しているなら残業と認められることがあります。
2020年4月の法改正により、残業代請求の時効は3年となりました。
とはいえ、あまり時間が経つと残業代請求に必要な出勤簿やタイムカードなどの証拠がなくなる恐れもあるので、請求はできるだけ早めに行うようにしましょう。
会社にとって割増賃金となる残業代はあまり支払いたくない手当です。
しかし、一生懸命働いて会社に貢献した分、労働者には請求する権利があります。
会社の残業代計算がおかしい、働いている時間に比べて残業代が少ないなど、会社の支払う残業代に疑問のある人は一度計算してみましょう。
CATEGORY : 働き方
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