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2023年12月28日
有給休暇は、会社で働く人すべてに関わる制度です。
とはいえ有給休暇が付与される条件や日数など詳細まで説明できる人はあまりいないのではないでしょうか?
この記事では、有給休暇の基本的な付与の条件やルールを説明します。
有給休暇とは労働者が日々の疲れを回復し、ゆとりのある生活を送れるよう保障されている休暇のことです。
通常、会社は労働者が休んでいる期間について賃金を支払う義務はありませんが、有給休暇を使えば、休んだ期間についても賃金が支払われます。
条件さえ満たせば、有給休暇は正社員だけでなくパート・アルバイト・時短社員・派遣社員・有期契約社員など、どんな働き方の労働者にも与えられます。
有給が付与されるためには、以下の2つの条件をどちらも満たしてなければいけません。
出勤率が8割以上なら、入社から半年後に最初の付与が行われ、その後は1年ごとに一定の日数が付与されるということです。
有給休暇は労働時間と労働日数に応じて付与されます。
正社員と同じ日数・時間だけ働いていれば、派遣社員や有期契約社員であっても、付与日数は正社員と同じです。
働く日数・時間の短いパートやアルバイトには「比例付与」といい、正社員よりもやや少ない日数の有給休暇が付与されます。
・フルタイム勤務の人(正社員、有期契約社員、派遣社員など)
(週の所定労働時間が30時間以上/週の所定労働日数が5日以上/年の所定労働日数が217日以上のどれかを満たす労働者)
・フルタイム勤務でない人(アルバイト、パート、短時間社員など)
(週の所定労働日数が4日以下かつ所定労働時間が30時間未満(所定労働日数が週以外の期間で定められている場合は年216日以下)
消化しきれず余った有給休暇は、翌年に繰り越して使えます。
しかし有給休暇には時効があり、付与された日から2年を経過すると消滅してしまうため注意が必要です。
例)
入社後6ヶ月経過
・有給10日付与
↓
入社後1年6ヶ月経過
・有給が11日付与され、10日+11日=21日の有給休暇を保有
↓
入社2年6ヶ月経過
・有給12日付与
・初めに付与された10日の有給休暇が消滅するため、
11日+12日=23日の有給休暇を保有
(※有給を全く使わなかった場合)
有給休暇は、労働者にある程度まとまった時間の休息を与えるという観点から、原則的には1日単位で取得するのが理想です。
しかし有給休暇取得率の低い日本では、労働者が有給を取得しやすいよう半日単位・時間単位での取得を認めています。
半日単位の取得については特にルールはありませんが、時間単位で取得する場合は年5日分までとするきまりがあります。
時間単位での取得はなるべく控え、できるだけまとまった時間でとってほしいというのが法律の求めるところでしょう。
もし会社が「有給休暇の取得は禁止」「特別な理由がない限り有給は使えない」「ノルマを達成しなければ有給を使う資格がない」と決めているならそれは違法です。
申し出があれば、会社はどんな労働者にも有給休暇を与えなければいけません。
とはいえ、会社も有給に関する権利を持っています。
「時季変更権」といい、有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は有給取得日を変更できます。
しかし、「忙しいから」「代わりの人がいないから」という理由では変更できず、勤務体制や人員調整をした結果、どうしても事業の運営に支障をきたしてしまうという場合のみ行使できます。
労働者が有給休暇を取得したことを理由に、減給・解雇することは禁止されています。
精皆勤手当を支払わない、ボーナスの査定を下げるなどの取り扱いはできません。
また、有給休暇を取得しない人にだけ精皆勤手当をつける、ボーナスの査定を上げる、昇進を早めるなど有利な取り扱いをすることも禁止です。
労働者が有給付与の条件を満たしているにも関わらず、会社が有給休暇を与えなかった場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が課されます。
2019年4月より労働基準法が改正され「年5日の有給休暇取得」が会社の義務となりました。
ニュースでもかなり話題になったので、この制度を知っている人は多いのではないでしょうか。
法改正により、会社には労働者に最低でも年5日は有給を取得させる義務が課されました。
しかし、この法律はすべての労働者が対象ではなく、有給休暇が年10日以上付与される人に限ります。
正社員やパート・アルバイト・短時間勤務の人で、年に10日以上の有給休暇が付与される人が対象です。
「年5日の取得義務」は会社に課されているものです。
もし5日の有給休暇を取得していない労働者がいたら、会社は労働者に有給の取得希望日を聞き取り、付与から1年以内に消化させなくてはいけません。
基本的には労働者の意見を聞きますが、会社の方で有給取得日を指定して取得させても構いません。(計画年休)
会社が労働者に年5日の有給休暇を取得させなかった場合は、30万円以下の罰金刑が課されます。
(取得させなかった労働者の人数×30万円の罰金)
「うちには有給はない」と言われました。
会社は、条件を満たしている労働者に必ず有給を与える義務があります。
会社によって有給があったりなかったりするということはありません。
有給取得の理由は伝えなくてはいけないのでしょうか。
有給取得は労働者にとって当然の権利ですから、取得の理由を会社に報告する義務はありません。
特別な理由がなくても取得できますし、どんな理由であっても会社は有給の取得を拒否できません。
有給は事前申請でないと取得できませんか?
有給休暇は「労働者の請求する時季」に与えるものとしており、法律上は事前に申請することが原則となっています。(労働基準法第39条)
ですから、会社が「有給休暇を取得する場合は事前に申請すること」と定めても違法ではありません。
退職時に残った有給を全部消化してもいいのでしょうか。
残っている有給休暇をすべて消化して退職することは可能です。
引き継ぎや繁忙期のために多忙であれば、会社はできるだけ出勤するようお願いするかもしれませんが、どんな状況であれ会社は有給の取得を拒否できません。
会社が定める有給付与日数が法律と違います。
有給が法律で定められた日数より多かったり、付与タイミングの早い会社もありますが、労働者に有利な条件にしているなら問題ありません。
もし、法律より不利な条件にしているのなら違法です。
有給は買い取ってもらえますか?
有給買い取りは原則、禁止です。
有給休暇は労働者に休息を与えるための制度ですから、休む権利を買い取ることは法律の趣旨に反します。
ただ、以下に挙げる例外的なケースのときのみ、買い取りが許されています。
①退職時に消化しきれなかった場合
消化しきれず余った有給休暇は買い取ってもらえます。
退職後は消化することができないためです。
とはいえ、会社側には有給を買い取る義務はありませんので、買い取りには会社の合意が必要です。
②消化しきれず消滅時効にかかった場合
有給休暇は付与から2年が経過すると、時効により消滅してしまいます。
時効によって効力を失った有給の買い取りは問題ありません。
③法定以上の有給休暇が付与されている場合
会社が法定より多く有給休暇を付与していた場合、法定を超えた日数分の有給休暇は買い取ることができます。
(※有給買取は法律上決められた制度ではないため、買取額について特に定めはありません。買取額は会社が任意で決めて良いことになっています。)
有給を使ったので皆勤手当は支払わないと言われました。
有給を取得した日についても通常の出勤日と同様に取り扱わなくてはいけません。
皆勤手当、精勤手当など手当の名称を問わず、有給取得を理由とした減給は不利益取り扱いにあたります。
パート、時短社員、派遣社員、契約社員だから有給はないと言われました。
雇用形態や働き方に関わらず、先に挙げた付与条件を満たしていれば、どんな労働者にも有給休暇は付与されます。
フルタイムの勤務でなくても、「比例付与」と言って労働時間や日数に応じて有給休暇は発生します。
パートから正社員になりました。パートのときの有給はなくなりますか?
雇用形態が変わっても、残っている有給休暇の日数は引き継がれますので、なくなることはありません。
有給休暇は労働者にとって当然の権利といっても、まだまだ有給消化に抵抗のある人も多いでしょう。
しかし、しっかり働くためには十分な休養も必要です。
有給休暇を取得する日を決めたら、その日に向けて仕事の調整をしておきましょう。
誰に仕事を引き継ぐか、もし何かトラブルが起きた場合にどう対応しておくかを決め、職場の人に伝えておきましょう。
引き継ぎや連絡が不十分だったため、休暇中に電話が来るなんて事態は避けたいですよね。
有給の申請は口頭でも有効です。
しかし、有給休暇は繰り越しや時効があったりして、いつ、何日消化したか、記録しておかないと分からなくなってしまいます。
会社に所定の申請書があるならそれを利用し、もし申請書がなければ出勤簿に有給取得日を書き込んでおきましょう。
有給休暇の取得は労働者の権利です。
賃金をもらいつつ仕事を休むことに抵抗があるかもしれませんが、良い休息なくしては良い仕事はできません。
休むときはしっかり休み、メリハリをつけて働くのが理想ではないでしょうか。
CATEGORY : 働き方
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